友人とギターの練習をしていてＰＰＭ（ピーター・ポール＆マリー）のＣＤを聴く時がある。彼らの「悲惨な戦争」を僕らもレパートリーにしているからだ。と云うより勝手に使わせていただいている。レモントゥリーとかア・ソーリンとかを本当は演りたいのだが、全く歯が立たない。ハモりもそうだが、一人ひとりでも感動させられる声の持ち主たちが各々の個性を殺すことなく演るのである。参りました。アンタが大将！と言うほかない。絵画でもモネの「モントルグイユ街」と言うオルセー美術館にある作品がアンタが大将にあたる。3度目のパリ万博を祝っての様子が描かれているのだが、近くで見ると点々の絵の具としてしか見えないものが３mほど離れてみると祝日の歓声に沸く街の様子が浮かび上がっているのだ。ボクは同じ階にあるゴッホの「最後の自画像」が目的で見に行ったのだが、心に沁みたのはモネのほうだった。人の心に響くものをいつの時代も作り出してくれている人たちに感謝！

ブログを２週間サボった。母の具合が思わしくないのでブログのほうに気が向かなかった。母は糖尿病の合併症がコレでもかと言うほど出てきた。
７７歳だから身体のほうは相当劣化しているだろう。日本も変だ。食品偽装はモラルの劣化だし、年金問題は国への信頼の劣化につながる。昔から役人と政治家は自分たちだけ好い思いをしようという守銭奴の集まりだから年金問題は成るべくしてなったのかも知れない。が、大昔なら一揆だぜ。日本の地盤も劣化しているみたいだし、本当にこの辺で「御破算に願いましては…。」になるんじゃないかな？

今の時期、実家の庭は雑草でボウボウだ。親父の手入れする手から離れて随分経った証拠のようなもんである。庭に、離れの軒まで届くほど育ったアジサイがある。親父の祭壇に供える花に重宝している。植えた親父は、そんな使われ方をするとは生前思っていなかったろう。雨に負けないアジサイ（紫陽花）は梅雨の湿った気持ちを爽やかにしてくれる。まるでヒマワリ（向日葵）が夏のきつい陽射しに萎えるボク等の気持ちを払い除けて咲くように…。その、心をバックアップしてくれる効果は人間にはとても有難い。色んな気持ちが救われる。長く生きていく為には、人は弱さを隠さなければならないから…。

娘と離れて暮らし始めてから３年目になる。子育てが時間を置いて再チャレンジできるなら、子供と一緒に運動や旅行や何か共通する時間をメインに生活を構築するだろう。子供と共有できる時間は、人生のスパンから考えると思ったより短い。今なら解る。子供と遊べる時間を割いてまで働く必要と意味は無いと…。子供にもう１ランク上の生活をさせたいがための親心は、結局親子の心の距離を遠ざける。両親共働きで寂しい思いをした４０年前の少年は、自分の子供にも同じ思いをさせてしまった。ただ違うのは、４０年前の７月の空はこんなにも人々の身勝手な欲望で澱んではいなかった。そんな気がする。

高校ぐらいの年齢から、おそらく２０代前半までは根拠の無い過信で生きていたように思う。この手の付けられない性格はどうやら娘にも受け継がれたようだ。ご先祖様にとっては嘆かわしいことである。「ん？なんか変だな。コレはボクの思っている世の中じゃないぞ」と思い始めた時、あらゆるものが一気に襲いかかって来た。学歴だの、家柄だの、スキルだの…。それこそ日本でより良く生きていくためには「お客さん、そういうものがないとお上に文句の言えないマス層だぜ。せめてスキルを身につけてアッパーマス層に行かなきゃね。」野の仏がケラケラ笑う。その時、ボクの両親はそんな不肖の息子のことをどう見ていたんだろう？ずーっと後になって「親の意見とナスビの花は千にひとつの無駄もない」って云う言葉の意味を知ることになる。